Hiroyuki Minegishi's Website
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放射線問題に詳しい中部大学教授の武田邦彦先生の日々のコメントを紹介します。

 

  

震度6の地震に耐えた原発は世界にない?

2011.9.7    

 

 

「原子力発電は安全である」と言っても、それは原発を取り囲む環境による。地震も津波も落雷もなにもない平穏なところに建設されている原発なら安定した設計と間違いない運転をすれば安全になるだろう。


でも、日本では10年間に13回の震度6の地震があるのだから、震度6の地震で耐える原発でなければ「原発は安全だ」とは言えない。その点では、日本の原発は青森の東通原発から、女川、福島第一、福島第二、茨城第二、柏崎刈羽、石川原発まで東日本の7つの原発はすべて破壊された。


ここでいう「破壊」とは、地震で棚からものが落ちたという程度ではなく、制御棒は入ったけれど、配管や階段が破壊されるとか、火事や放射線漏れを起こすなどの破壊であり、1年ぐらいは動かないことを指す。


つまり浜岡原発が地震の可能性があるので止まっているのを含めると、本州の石川県以北の原発はすべて震度6の地震で破壊され、それは100%の確率である。


・・・・・・


このような現実を見ると、事実としてハッキリ「日本の原発は震度6の地震で破壊される」ということを示している。これを少なくとも原子力の科学者は認めて、「原発の安全技術は不完全だった」ということをもっと素直に認めないと技術者とは言えない。


技術者は常に現実に素直でなければならない。実験結果、観測結果を認める力科学者に求められる。それが、これまでの自分の考えや、立場、名誉などと全く反するものであっても、それを乗り越えるのが科学者、技術者というものである。


その意味では、福島第一原発や東日本の原発の状態を見ても、まだ「日本の原発は安全」などと言っている人は「学者、科学者、技術者、専門家」という表札を外して貰いたいと思う。


・・・・・・・・・


ところで、日本の原発と地震の関係を整理したところだが、今、世界の原発の状態を調べている。もしかするとまだ人類は「震度6の地震に耐えられる原発」を作ったことがないかも知れない。そしてそれが日本の原子力安全関係の研究に無かったのではないかとも思う。


もしかすると憲法に示された学問の自由があっても、「原発は地震で破壊される可能性がある」という研究が制限されていた可能性もあるのだ。


(平成2396日)

 

 

  

中村幸一郎審議官の交代と寺坂院長の辞任

2011.8.15    

 

 

経産省の寺坂院長の辞任の会見で、3月の下旬に交代した保安員の中村幸一郎審議官の交代について言及し、中村さんが「原子炉がメルトダウンしている可能性がある」と発言したことが交代の直接の原因ではないと述べた。


このことはいろいろな内容を含んでいる。


1) まず、今回の福島原発事故の第一の責任が保安院にあることは明らかである。原発は社会に大きな影響を与えるから国が厳しい規制をしているのだから、今回のように運転に問題は無く、設計に欠陥があった場合、その第一の責任は設計を認可する保安院にある。しかし保安院長は辞任するまでほとんど公に姿を現すことはなかった。


2) 事故は技術的な内容が主であり、3月下旬の時点では記者会見でも技術的内容が多かった。その時点で技術担当の審議官が説明するのは納得性があり、交代の理由が不明のままそれまで貿易自由化を担当していた文官の西岡さん(後に不倫問題で交代)に変わったのは政治が指示したのだろう。今回の交代の理由を述べなかった。


3) 政治が「事実を話すな」と指示したとして、公務員は守秘義務があるから言うことができないというのは、最高裁判例などから見ても妥当ではない。秘密にしたことについての公務員の責任逃れとして使用される言い訳である。


民主党は「政治主導」を掲げたが、お金の節約などでは官僚の抵抗にあって初志を貫徹できず、「官僚が抵抗している」という事実そのものも言えないだらしない内閣になった。


そして、「国民に事実を隠す」というように官僚の都合の良いときに政治手動を利用されるに至っている。日本の発展のためにはそろそろ政権が変わったら、局長以上の官僚は交代するということにしなければ国民主権は有名無実になるだろう。(音声付き)



takeda_20110816no.79-(331).mp3」をダウンロード



 

 

  

何回でも呼びかけます

2011.8.15    

 

 

国民を守る立場の政府はもちろん、市民を守る自治体、専門家、マスメディア、そしていろいろな指導的立場にあるかたに呼びかけます。


1) 放射線被曝に対する今までの指導と大きく異なる時には、その理由をできるだけ定量的に説明してください。特に、今、外部線量と、食材の基準がそれぞれ120ミリシーベルトになり、その合計が40ミリにもなります。この量は1年間に胸のレントゲン800回ぶんですから、お母さんが心配するのは当然であるという判断にたって、「紋切り型」ではなく、丁寧な説明をお願いします。


2) 今回の福島原発から漏れた量は100京ベクレルで、これを1億人で割ると一人あたり100億ベクレルになります。これは人間が体内で処理するには難しい量ですから、瓦礫の搬出など放射性物質の拡散には長期的で定量的な数値を示してください。


3) 玄海原発、泊原発などの再開問題がありますが、すでに2007年から震度6で東通から志賀原発まで東日本の原発は100%の確率で破壊しています。したがって、安全審査、安全対策はこれまでと別のものでなければならないという常識を採用してください。また救命ボート(通報、避難の手段)を整えないうちには再稼働しないように進めてください。


4) 日本はこれまで農薬大国だったこともあり、それらを克服してやっと信頼できるクリーンな国土になりました。農薬、食品添加物などは基準(動物実験などで学問的に推定した値)から、まず10分の1(学問の不確定部分)、さらに10分の1(個体差、食材の誤差など)して、100分の1にしているからこそ、安心した状態になったのです。今回でこの優れた日本のやり方を変えるのは間違っています。


日本はこれまで原爆の経験もあり、放射性物質についてはクリーンな国を目指してきました。今は残念ながらかなりの汚染国になりましたが、すこしでも汚染を少なくするように日本人は一致団結するべきと考えています。(音声ファイルあり)



takeda_20110815no.77-(546).mp3」をダウンロード




(平成23815日)


 

 

  

これからの話(5) 日本の力は圧倒的

2011.8.14    

 

 

日本の円はどんどん、円高になっています。円高が困るという人がおられますので、先日、私は日本で10本の指に入るという経済学の権威の方とじっくりお話をしました。


私が勉強し、認識してきた経済や金融の確認と、円高について検討しました。現在の経済学は、アダムスミス以来、まだ生産側、消費側、そして経済安定のための国家の関与など、マクロ的と言えるのですが、国家や社会全体のことしか解明されていないことを確認しました。


またグローバリゼーションの問題、銀行規制の問題などまだまだ不十分な点もありました。


そして、現在のこととしては、円高はとても良いことである(当然ですが)ことも確認しました。ただグローバリゼーションの中で価格の調整が従来の経済学や金融が予想する範囲を超えていること、銀行が産業に活動資金を供給するという本来の目的を忘れていることなど大きな問題が内包されています。


経済や金融と行っても、所詮、物流のことですから、お金というもののもつ特殊な交換要素を見間違わなければ特別な関係は無いのです。


「需要供給関係」というと言葉が難しいのですが、単に「みんなが欲しがればものが無くなり、値段があがる」というあたり前のことでもあります。


為替はわかり難いのですが、1ドル360円の時代から見ると、1ドル80円というと、円の価値が4倍、つまり日本とアメリカの関係では、日本の価値が4倍に上がったことを意味しています。


短期的に一部の企業では苦しい状態が来ますが、日本人は全体としては赤飯を炊くような状態です。


なぜ、そうなったかということもその経済学の方と話をしてきましたが、結論は私と同じでした。つまり「日本の力は世界で圧倒的に強い。特に勤勉と生産、誠実だ」ということでした。


是非、この力を子供たちの社会にも受け継ぎ、私たちの世代より一段と幸福になって欲しいと思います。(音声ファイルつき)



takeda_20110814no.66-(609).mp3」をダウンロード




(平成23814日)


 

 

  

何回も呼びかけます

2011.8.14    

 

 

読者の方からのご相談









読者の方からのご相談の多くは、「転居すべきか」、「食材の選択」、「子供の夏休みの過ごし方」で、かなり全体的に落ち着いて来た感じもします。


1) 転居すべきかはその場所の放射線量と、家族構成によってアドバイスしています。東京で葛飾区付近で1階の場合、可能なら少し外してマンションの4階以上をお勧めしています。


2) 食材は、野菜からの少しの被曝はあきらめて、米や肉など重点的に注意し、牛乳はやむを得ずの時には買うようにお勧めしています。12ミリシーベルト程度になります。特にお米は食べる量が多いので、注意をしてください。


3) 子供の夏休みは、今年は神経質になった方が良いというのが私の判断です。太平洋側の海は避けた方が良いでしょう。海水浴の安全宣言がでていますが、業者中心の考えで、ヨウ素とセシウムしか測定されていません。今回の事故では、海にストロンチウムとプルトニウムが漏れたと考えられます。海水浴は避けましょう。ただ、すでに1,2回の海水浴をした場合は、摂取量が少ないので、大丈夫です。


4) 簡易型の線量計の場合、0.1マイクルシーベルトより低いところで誤差がでる可能性が高いので、「健康に影響があるところははかれるが、あまり低いところのデータはあきらめる」というのが良いと思います。


5) 今後は日本中に少しずつ汚染が広がるのは避けられないので、今後も、周囲の評判にあまり耳を傾けず、被曝量を減らして体の貯金をしておくことをお勧めします。また、自治体が進めている「瓦礫、薪などの汚染物質の関西地方への移動」には、いろいろな手段で抵抗した方が良いと思います。そのときの論理は、「福島原発から漏れた量は100京ベクレルになる。それを1億人で割ると一人あたり100億ベクレルでとうてい耐えられない。それなのに拡散してどうして大丈夫なのか長期間の数値で示して欲しい」としてください。


6) 柏市のようなホットスポット(原発事故では原発からの距離とは関係なく、放射線の高い場所ができる)にお住みの方はチャンスを見て「近くで放射線の低い場所」に移動することをお勧めします。今回は柏市の近くの地図を示しておきます。


7) 学校などの除染は、実績から見ると、1)校庭の表土を除く、2)植物の葉を刈る、3)校舎の壁を高圧洗浄水で洗浄する、4)屋根を洗う、5)溝の土を全部とる、6)教室内を拭き掃除する(できればダニ除去剤を使う方が良い)などをすれば、0.1マイクロシーベルト(毎時)を切ることができます。


8) 私の家は愛知県ですので、部屋の中は0.1マイクロ(毎時)なのですが、玄関だけは0.4マイクロもあります。恥ずかしながら私がいろいろな場所にいったので、靴についたもので汚染されたようです。またご家庭によってはご主人の布団の放射線が高い家庭もあります。外出された時には注意が必要なようです。


とりあえず、ご質問の多いことについてお答えしました。(音声ファイルはダブルクリックです)



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(平成23814日)