衆院予算委員会は2日、菅直人首相と全閣僚が出席して基本的質疑を行い、公明党から石井啓一政務調査会長、高木陽介幹事長代理が質問に立った。石井氏は、年金改革の具体案を示さない民主党の無責任な姿勢を厳しく批判するとともに、2011年度予算案の問題点などを追及。高木氏は高額療養費の自己負担限度額の引き下げなどを迫った。
質疑要旨(石井政調会長、高木幹事長代理)
マニフェストの破綻追及
石井氏は、菅首相が社会保障改革の議論に野党が応じなければ「歴史に対する反逆行為」と挑発的な発言をする一方で、福田政権当時、野党だった民主党が社会保障国民会議への参加を拒否したことに言及。「完全にご都合主義だ。自分たちの行動を真摯に反省し、謝罪すべきだ」と迫ったのに対し、首相は「言い過ぎがあったとすれば謝りたい」と陳謝し、野党時代の対応についても「政局的な判断に偏りすぎた」と反省の弁を述べた。
一方、年金制度改革について石井氏は、民主党案を基本に幅広く意見を聴取して検討するとの政府答弁(1日)に触れ、年金一元化と最低保障年金の全額税方式という同党の主張は誤りだったのかと追及。首相は、社会保障と税の一体改革に伴い4月にまとめる年金改革案について「(民主党案が)そのままスライドするものではなく、幅広く検討する」との認識を示した。
また、石井氏は年金制度の政府案を示す前に、民主党案を示すべきだと重ねて要求。「最低保障年金(への税金投入)は総額どれくらいか」と具体的数字を示すよう迫ったのに対し、首相は「具体的な数字をこれまで固めていなかった」と釈明。同党マニフェスト(政権公約)の年金改革案が国民を欺くいい加減な内容だったことが明確になった。
一方、石井氏は、11年度予算案の問題点として(1)景気、デフレ(物価の持続的な下落)対策が中途半端(2)財政健全化への道筋が見えない(3)民主党マニフェストの破綻が明白―の3点を指摘。
具体的には、成長戦略を進めるための「元気な日本復活特別枠」の矛盾点を追及。「在日米軍駐留経費」(思いやり予算)など「『元気な日本復活』と関係のない予算ばかりが並んでいる」として、成長を促す効果は期待できないと批判した。
財政健全化に向けては、政府の財政運営戦略で「目標は立てているが、目標に至る具体的な計画がない」と指摘。米格付け会社が日本の国債格付けを下げたのは「菅政権に具体的な財政運営戦略がないからだ」と糾弾した。
さらに、子ども手当などの実現のため、「マニフェストでは、11年度に12.6兆円を確保するとなっていたが、(11年度予算案では)3.6兆円しか確保されていない」として、主要政策の「実現のメドが立たない。マニフェスト破綻を認めるべき」と迫った。
菅首相は「マニフェストは破綻していない」と強弁した。
このほか石井氏は、民主党政権が「廃止」を約束したガソリン税などの暫定税率を維持した点などに触れ、「税制改正でもマニフェスト違反が甚だしい」と批判した。
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